バグダッド・カフェ 感想
バグダッド・カフェ 感想
砂漠の中のハイウェイ沿いにある、モーテル兼ガソリンスタンド兼カフェを舞台とした群像劇です。
働かない旦那に愛想を尽かし、生活に追われていっぱいいっぱいの女主人ブレンダの心は、周辺の砂漠と同じように荒んでトゲトゲしく、店も女主人の心境を映してか、散らかりっぱなしでホコリがつもり、閑散としています。
このカフェに、これまた旦那と喧嘩別れしたドイツ人旅行者の巨漢女ヤスミンが、スーツケースを引っ張りながらトボトボ歩いて辿りつきます。
行くあてのないヤスミンは、空いていたモーテルの部屋に居着いてしまい、はじめはブレンダから煙たがられますが、ヤスミンの小さなおせっかいからカフェの空気が変わりはじめ、やがて砂漠の中のオアシスのような場所になっていくという物語。
大きな事件は起こらず、美男も美女も出てきませんが、1989年に公開されたときは日本のミニシアターブームを牽引する代表作とされた作品です。
砂漠のザラザラした質感が伝わる映像と、主題歌の「Calling You」が印象的でした。影の使い方が上手い、と感じました。
公開から20年近く経ってつくられたニュー・ディレクターズ・カット版は、2008年にカンヌ国際映画祭で上映されています。
息の長い、映画好きに好かれる映画なのでしょうね。
芸術性が高く評価されている作品ですが、やっぱり映画にはエンタメ性を求めてしまう僕は、もう一度観たいとは思いませんでした。
純文学よりもミステリーがいいですね~