ニキータ 映画 ネタバレ
ニキータ 映画 ネタバレ
「ニキータ」は1990年の仏・伊合作映画で、リュック・ベッソン監督がハリウッドで映画を撮るキッカケをつくったといわれています。
そして、リュック・ベッソン監督の最初のハリウッド作品が1994年の「レオン」です。
どちらも暗殺者が人らしい感情、愛を知って変わっていく姿を描いていますが、「ニキータ」は余白をのこす演出、「レオン」はスパッと結論がわかるカタチで撮っています。
たとえば、ニキータのラストシーン。ニキータの恋人のマルコと、ニキータの上司で教育係だったボブがマルコの家でテーブルを挟んで対峙する場面です。
マルコがすべてを察していると知ったボブが、できる限りニキータを組織から守ることを約束したあと
マルコ「マイクロフィルムは僕が持っている」
マルコはマイクロフィルム入りの紙袋を引き出しから出して、ボブに渡す。
ボブは袋の中のマイクロフィルムを取り出して、ポケットに入れる。そして、まだ何かあるのではないかと、マルコの目線を気にしながら袋の中をもう一度チラッとみる。
マルコはタバコを手に取りながら
マルコ「あんた宛ての手紙は僕が破った」
と言って微かに笑う。
ボブは真顔で
ボブ「内容は?」
マルコはボブの顔を見ながら何も答えずにタバコに火をつけ、煙を吐き出す。マルコの表情を見ていたボブの顔には次第に笑みが溢れはじめる。
マルコの視線が少し泳ぐ。ボブは満面の笑みで
ボブ「寂しくなるな」
マルコは横を向いて小さくうなずき、再びボブの顔をみると
マルコ「ああ」
これでエンドロールが流れ始めます。
ニキータは組織から逃げ切れるのか?
マルコは再びニキータと暮らすことができるのか?
ボブはニキータを追うのか、追わないのか?
手紙には何と書いてあったのか?
などなど、
いろいろな疑問がわずか数分のラストシーンで生まれますが
映画の中では、何も回答がありません。
この余白を残す演出は、ニキータの最初の任務の場面でも使われています。
場所は、従業員が拘束されているように見えるホテルの地下室。
そこに呼び出されたニキータは、メイドの制服に着替えさせられて、仕掛けのついたルームサービスを護衛のついている部屋に運びます。
部屋に入ろうとするニキータは入り口で制止され、部屋から出てきた男にトレイを渡し、護衛からチップをもらいます。
地下室に戻ったニキータは、任務はおわったと帰されます。
ターゲットがどこの誰だったのか、仕掛けはどのように働いたのか、そもそもどのような経緯で地下室の状況が生まれたのか、一切描かれていません。
任務が成功したことは、帰宅直後のボブからの電話で知ることになります。
一方、レオンでは、こうしたあいまいなエピソードは一切ありません。
レオンがスタンを道連れにして亡くなったあと、マチルダはレオンの雇い主トニーの元に行き、仕事をさせてほしいと頼みます。
しかしトニーはこの申し出を断り、レオンの遺産は生前のレオンの依頼で、トニーが管理して、毎月少しづつマチルダに渡すと告げます。
マチルダは元にいた寄宿舎に戻り、レオンが育てていた鉢植えを庭に植え替えます。
これがラストシーン。
疑問が生まれる余地はありません。
フランスの観客とアメリカの観客のちがいを意識したものなのでしょうか?
どちらもリュック・ベッソン監督の撮った暗殺者の映画で、銃撃戦のシーンなどテイストも似ていますけれど、まったくちがう映画ともいえます。
「レオン」は9月27日(木)13:25~
テレビ東京で放送されます。
ちなみに両作品に出演しているジャン・レノ。
「ニキータ」では、任務遂行だけしか考えず暴走する掃除屋ヴィクトルを演じ、「レノン」では行きがかり上マチルダと共同生活をするようになって、人間らしい感情を取り戻していく暗殺者を演じています。
リュック・ベッソン監督は「レオンは掃除屋の血族」と語っていますが、人物像はまったくちがっていました。