レオン 映画 感想
レオン 映画 感想
昨日の昼にテレ東で放送した「レオン」、録画して見ました。
前回観たのは、何年前だったか思い出せません。
やっぱり、忘れていたシーンがたくさんありました。
あらためて観て、ジャン・レノ演じるレオンがこんなに表情豊かだったかと驚きました。
音声を英語にして字幕つけて観てましたが、まずファットマンを脅しあげる仕事の描写。
ファットマンの立つ背後の暗闇から、ナイフを握った手がスッと出てきて首筋に当てるシーンは、背筋に鳥肌がたちました。ファットマンの感じる恐怖を同時に体験している感じ。
ジャン・レノの低い声、緊張感を高めるカメラワークも抜群です。
そして、もうシマを荒らさないことを約束させると、音もなく消えていくという神出鬼没、自由自在な動き。サングラスをしたレオンは、あくまで冷静です。
そのあと、ガラガラの映画館でジーン・ケリーの歌と踊りに魅入っている、「掃除屋(cleaner)」らしからぬ無邪気な表情は、少年のようでした。レオンの観ていた映画は1955年の「いつも上天気」だそうです。日本では未公開でDVDにもなっていません。
モノマネクイズのシーンで、マチルダがマリリン・モンローの真似をしたときは、ドギマギしてまともにマチルダを視れなくなっていました。
万が一のことがあったときは、自分の財産をマチルダに渡してほしい、とトニーに頼むシーンは、「男はつらいよ」シリーズでマドンナに恋した素朴な青年が、彼女への思いを寅さんに打ち明けているような話し方でした。
「ニイチャン、それは恋っていうんじゃないのかい?」と、寅さんならキューピット役を心ならずも請け負ってしまいそう。
レオンの中には、冷酷無比な暗殺者と純真な少年が同居しています。
この二面性は、前に観たときにあまり印象がなかったんですけれど、今回は一番印象に残りました。
ゲイリー・オールドマン演じる麻薬捜査官スタンスフィールドの完全に振り切ったヤバさや、ナタリー・ポートマンのキュートさはそのままでした。
僕は名作、駄作がわかるほどたくさんの映画を観ているわけではないのですが、この作品の役者の演技力が秀逸であるとか、監督の演出の巧みさが抜きん出ていることは感じられました。
この作品を名作という人は少なくありませんね。
ところで、先週BSプレミアムで放送した「ニキータ」が、来週火曜日10月4日にテレ東の同じ枠で放送されます。
こんなに続けて同じ映画を放送するのって、珍しくないですか?
ニキータも、レオンと同じように暗殺者が人間らしい感情に目覚めていく物語です。
ニキータの場合はむしろ、暗殺者として訓練を受けて人らしくなった、といえるかもしれません。。。
レオンはニキータの掃除人ヴィクトルと血族だ、とリュック・ベッソン監督は語っています。ヴィクトルも演じたのはジャン・レノでした。
「レオン」では、スタンという明確なヴィラン(悪役)がいますが、「ニキータ」でははっきりした対立の構図はありません。悪いのは組織という、顔のない役者といえるかもしれません。
ラストシーンの意味も「レオン」はわかりやすく、「ニキータ」はそこで終わり???という感じになります。
アメリカ人に受ける演出と、フランス人に受ける演出は違うんだなぁ、ということがよくわかります。
フランスの方がコクがあるというか、矛盾を受け入れる深さを感じます。
両方の作品を比べてみるのも面白いです。